僕の家は2年も浪人するほど裕福ではありません。かと言って、就職試験も受けていないので、いきなりどこかの会社に入ることもできません。幸い当時父親が建築関係の自営業をしていたので、その仕事を手伝うことができました。飯田橋か市ヶ谷か忘れましたが、そのあたりの現場で汗びっしょりで働いていると同年代の若者が楽しそうに歩いています。場所からして理科大か法政の学生さんでしょうか。やっぱり、大学に行ってみたいなと思い、おやじに頭を下げて駿台予備校に半年だけ通わせてもらいました。予備校の力もあって、英語以外の教科はよくなってきましたが、英語を含めると志望校判定は惨憺たるものでした。特に何になりたいと決まっていませんでしたので、とりあえず経済系の学部と考えていました。しかし、英語がネックで中々合格しそうな大学はありません。そん中、一筋の光が差し込みます。埼玉大学の教育学部は2次試験の科目が現代国語・数ⅡBとあるではありませんか。これなら何とかいけるかも。しかも、志望者の少ない「技術」ならと、将来の夢やビジョンなど微塵も考えずに、ただ受かりたいという邪な動機で受験します。結果は何とか合格です。